以前の記事では同様の内容で、楽器を売る前に調べたらいいことを、主にエレクトリックギター、エレクトリックベースに関して記事を書いてきました。
今回はアコースティックギター、クラシックギターについて記事を書いていきます。
エレクトリックギター、エレクトリックベースと同じ部分に関してはこの記事では触れておりませんので、以前の記事を参照ください。
それではまずはボディの状態からです。
ボディの状態 外部
エレクトリックギターではそこまでボディの傷などは気にしなくてもよい部分があったのですが、アコースティックギターのような生楽器の場合はそうはいきません。
ボディ外部1 割れ
まず、状態の前に重要なのはボディの材質調べです。
アコースティックギターやクラシックギターの場合ギターに使われている木材は安価なものでは、ベニヤというと聞こえは悪いのですが、ベニヤのように板材を重ね合わせた合板材で作られています。
それに対して、高級なギターになると、一枚の板、単板で作られているものが多くなります。
クラシックギターやアコースティックギターの場合、ボディは表面、側面、裏面、で構成されてるものが多いですが、
高いものであると、すべてが単板で構成されていることが多いです。
見分け方としては
表面は実に簡単です。サウンドホール(表面にある穴)から、表板の断面を見てみましょう。
その際、木目が一致していて、つながるようになっていればほとんどの場合単板です。
これは一目でわかる部分です。
側面と裏面は非常に見分けるのが困難で、専門家でも意見が分かれたりすることがあります。
素人でわかる部分は
側面に関しては 単板の場合割れを防ぐために割れ止めという板材が木目に対して90ど位の間隔で、一定の幅をおいてくっついていることが多いです。ただ、これが付いているからといって、一概に単板ともいえないのが難しいところです。
裏面に関してはサウンドホールから見た木目と、外側の木目が一致しているかどうかで判断するということがありますが、
よくできたギターだと、木目が一致するように化粧板を張っていることも多いのでやはり困難です。
側面、裏面を調べたい場合は型番をインターネットで調べてみて、購入者の方の情報を探す、
メーカーに直接問い合わせてみるという対応を取られる方がいいかと思います。
基本的に現在も営業をしているメーカーさんであれば、かなり古いものでも、カタログが残っていたりするので、カタログスペックからではありますが、大まかな板材の構成は教えてくれるかと思います。
それでは状態の確認に入りましょう。
調べるべきところは主に3点です。
ひとつはボディの割れ、クラックに関してです。
アコースティックギター、クラシックギターは構造上割れが入りやすいようになっています。
高いギターだとなおさらでです。
主に二つです。
ひとつは湿度の変化による木材の割れです。
単板を使っているギターがなる症状です。
特に表板で起こりやすいです。
なぜかというと、現在の多くのアコースティックギター、クラシックギターでは、単板といっても
ブックマッチと呼ばれる手法で、ちょうどギターの真ん中部分で、2枚の単板の材を張りあわせて作っています。
ギターが手元にある方はすぐに確認されるとよいかと思いますが、ブリッジの下、ちょうどまんなかあたりにまっすぐ線が入っていると思います。そこを中心に張り合わせているわけです。
これが離れてきてしまうというわけなんですね。
当然外からの圧力ではがれているわけではないので、最初はうっすら亀裂が入っているくらいいなのですが、次第にどんどんはがれていってしまいます。
マーティンやホセラミレスなど高いギターを売ろうとされているかたで、少しでも高く売りたい、なんて方は早急に修理に出した方がいいかと思います。
早い段階であればそれほど修理代金もかかりませんので、(一か所7000円~8000円くらい)修理に出しましょう。
割れがひどくなければ修理跡もそれほど目立ちません。
二つ目の割れ方としては衝撃によるものです。
この場合は結構厄介で、木目に沿って割れるわけではないので、修理も難しくなります。
割れを直した後も比較的残りやすいです。
このような割れ方をしている場合、ギターによってはネット買取のお店などでは買取不可となってしまう場合もあります。
そのようなギターを売りたい、処分したいという場合はヤフーオークションのようなサービスやジモティーなどのサービスをお勧めします。
意外なところにニーズはあるもので、まったく売れなさそうな状態のものでも売れたり、あるいは処分するにしてもお金がかからずに処分できる場合があります。
ボディ外部2 トップのふくらみ
ボディの外部で調べるべきもう一つの部分がトップのふくらみです。
アコースティックギターやクラシックギターはエレキギターに比べるとボディにかかる弦の力が強いです。
そのため、その弦の張力の影響でボディが膨らむことがあるのです。
そのため、弦高が上がってしまったりと、いいことは全くありません。
修理も難しいものが多いため、困難です。
ただ、基本的に楽器の構造上多かれ少なかれ症状は出るのですが、ひどいものには注意しましょう。
調べ方は簡単で、ブリッジの後ろ部分を真横から見る、あるいは、下敷きなどまっすぐな板状のものをその部分に置いてみましょう。
そうすると、ボディがどれくらい膨らんでいるのかがわかります。
ひどい場合にはボディにアイロンをかけるなど、専門的な修理が必要で、かなり高額です。こちらもギターによっては買取が不可になる場合があるので気を付けましょう。
ボディ外部3 サドル
ギターの弦をつなぐ部分に、白い棒状のものが入っていると思いますが、
あれがサドルです。弦高を調整したり、多数の役割を担っています。
ここの残り具合を調べてみましょう。
弦高も標準的で、残りがそれなり(1.5mm~2mm)くらいあるギターはよいギターです。
残り幅が全くなくても、弦高が低く設定されているギターの場合も調整幅は残っているので、問題はありません。
問題は弦高が高いにも関わらず、あるいは標準的な高さである場合にもかかわらずサドルの高さがほとんど残っていない場合です。
この場合はネックのそりの問題や構造上の問題が絡んでくる場合が多く、場合によってはネックリセット、指板調整など、高額な修理が必要になり、大幅に価値が下がってしまうこともあるので、注意しましょう。
ボディの状態 内部 ブレーシングのはがれ
ボディ内部でできたら調べたほうがいいのがブレーシングのはがれです。
ブレーシングというのはサウンドホールから見ていただけるとわかる、棒状の板のことで、
ギターを補強する役割や音色の特徴づけに一役買っています。
これが、はがれていたりすると、正しい音色が出なかったりします。
簡単な調べ方としては
- ボディの裏を軽くたたく
- 薄い紙を入れてみるという方法があります。
1 この方法では、ボディの全般的な不調を見ることができますが、多少慣れが必要です。
やり方自体は簡単で、軽く拳を握っていただき、中指の第二関節などを使って、軽くボディの裏をたたきます。
本当に軽くですよ、注意してください。
この際に問題のないギターだとコーンという伸びのある音がするのですが、
ブレーシングがはがれているようなギターだと、ポンっといった感じの短い、木と木がぶつかるようなしまりのない音がします。
ただ、言うは易し、行うは難しで、慣れるまでにはそれなりの熟練を要します。
2に関しては簡単に判断できますが、手や機材が届く範囲しか調べることができないという問題があります。
紙をブレーシングの下に押し当ててみて、中に入ってしまうようであれば、ブレーシングがはがれています。
このブレーシングの不良自体、そこまで、修理費用の掛からないものですが、時間がたつとひどくなってしまうため、少しでも高く売りたいという方は、見つけたら修理に出してみることをお勧めします。
その他
その他のネック、フレットなどに関してはエレクトリックギターの記事でも詳しく解説しております。
そちらの方を参考にしていただけると幸いです。
一点 クラシックギターのほぼすべてとアコースティックギターの一部にはロッドが入っていおらず、ネックのそりを調整することができません。注意しましょう。
まとめ
今回は楽器を売る前に調べた方がいい、アコースティックギターの各部位の状態に関して記事を書いてきました。
参考になりましたら、幸いです。