この記事では楽器を高く売るために日ごろから心掛けていた方がいい、ギターのコンディション管理に関して書いていきます。
ネック回りのコンディション管理
個人的にはアコースティックギター、エレクトリックギターに限らず一番大事なのがこのネック回りだと思っております。
ここの状態が悪いと弾けたものではありませんし、修理代金もバカみたいにかかります。
このネック回り何を一番気を付けたほうがいいかというと、反りです。
ネックは以前こちらの記事で書いたように、季節や気温湿度など環境の変化や弦の張力の影響を受けて反ります。
張力の向きと同じ方向にそることを順反り
張力とは逆の向きにそる方を逆反りといいます。
ギター類の楽器の場合若干順反りしている方が、状態としてはいいかなぁというところです。
プレイヤーの方の場合はご自身の演奏方法に合わせて軽くぎゃくぞりにしていたり、強めに順反りさせていたりしますが、こと売るとなると、若干順ぞりしているくらいの標準的な状態がいいかと思います。
標準状態でもこんな場合は高く売れない
どのような場合かというと、多くのギターのネックに仕込まれているアジャスタブルロッドと呼ばれる、ネックのそりを調整する機構が機能していない場合です。
これを絞めたり緩めたりすることによってネックのそりが簡単にできるわけですが、これが、うまく機能していないと、あとあとネックを調整するときにアイロンをかけたり、あるいは指板を削ったりと大掛かりな修理が必要になり、高額なリペア費用が掛かるため、高い価格を付けることができないのです。
1 湿度管理
大事です。
ギターに使われている気はすでに加工されているとはいえ環境の影響を十二分に受けます。特に湿度の影響は大きく
乾燥していればその分水分が抜けて縮み
湿度が高ければその分膨張、ネックが逆に反る
という風な具合で、湿度がありすぎても、乾燥しすぎていても不調のもとになります。
ネックを事例として書きましたが、アコースティックギターのボディも湿度の影響で縮んだり、膨張したりします。
ですので、湿度を鑑みて、加湿器を付けたり、出しっぱなしにするのではなく、ケースに入れて(ハードケースが一番いいです)
加湿器は楽器店にあるような大げさなものではなく、こういったギター用のものがありますので、それを使用されるとよいかと思います。
保管するなどそこまで手間暇はかかりませんが、少し面倒くさいことをやる必要があります。大事なギターのため、高くギターを売るためです。非常に大事なことです。
2 弦は張りっぱなしにしないほうがいい
こちらも大事です。使用してる弦の張力が弱めのエレキギターではよほど太い弦を張らない限りそのままでも問題ありませんが
多くのアコースティックギターやクラシックギターは弦の張力によって、ネックやボディに負荷がかかっています。
特に張力によってもたらされる弊害はプレイアビリティに直接影響し、当然買取価格も下がります。
日ごろから、軽く緩めるようにするなど、対策が必要です。
3 毎日弾くことが大事
一番大事です。
楽器、使われてなんぼ、使われるようにできています。
特にアコースティックギター、クラシックギターは、ギターを弾くことによって弦、ボディ、ネックが振動することにより、適度に木材が乾燥したり、(この辺はプロの人のお話のほうがよさそうですので詳しくは書きません)しますし、状態の変化にもいち早く気づくことができます。
ここではおおざっぱに対応策を書きましたが、実際のところギターは機械ではなく、木でできたものです。それまで生きていたもので作られているので、当然それぞれ個体差がありますので、ギター一本一本にあった、調整が必要になります。毎日弾いていることによって、そういった個体の持つ癖というのも把握しやすくなるのです。
こちらの商品のようにネックにかかる負荷を減らすように設計されているギタースタンドがありますので、こうしたものを利用されることもおすすめです。
4 番外編 定期的にリペアショップにもっていく
本当のことを言うとお金がかかりますが、これが一番おすすめです。
定期的にプロのリペア職人さんに診てもらいましょう。
特にビンテージのギターであり、状態の管理が難しいものや本当に大事なものの管理をしたい場合はおすすめです。
別にリペアといっても特段状態が悪くなければ大掛かりな修理をするわけではなく、状態を細かく見てもらうだけです。
お金もそれほどかかりません5000円くらいから10000円くらいでしょうか。
こちら気を付けておいたほうがいいというか、個人的な経験からなのですが、大手楽器店にあるようなリペアコーナーは利用されないほうがいいかと思います。
楽器店によりけりだとは思いますが、専門のリペア職人さんがいなかったり、あるいは提携しているリペア職人さんに外注している可能性もあり、時間もお金もかかるし、場合によってはいらない修理をされたりすることもあります。
個人的には個人あるいは専門でやっているリペアショップ(ギターを制作しているところはなおよし)をおすすめします。
こちらのサイトですと、リペアショップを簡単に調べられるので便利です。
次にボディの日ごろのコンディション管理について触れていきたいと思います。
ボディのコンディション管理
アコースティックギター、クラシックギターとエレキギター(フルアコ、セミアコなどの箱モノは多少アコギにも近い部分があります)ではかなり勝手が違いますので分けて、管理を怠ると生じる問題、そしてそれを避けるために日ごろからどのようなことを心掛けていればよいか書いていこうと思います。
まずアコースティックギター、クラシックギターからです。
これらは以下の4つの問題が起こる可能性があります。
4つの問題 ボディ割れ ふくらみ ブレーシングのはがれ 塗装に傷がつく
順を追って説明します。
ボディの割れ、
こちらは先ほどから書いてきているように乾燥することによって、ぱっかりとボディが割れてしまうことです。
(角にぶつけて割れたとか、人を殴って割れたとかについては、ここでは触れません)
合板を使っている安いギターではこうはならないのですが、単板(一枚の板)を使っているギターでは乾燥によって木目に沿って割れることが多いです。特にトップ板は単板のギターの場合二枚の単板材を張り合わせて作っているのですが、この接合部分がよくはがれて割れてきます。
アコースティックギターの宿命ともいえる症状で、速く見つけることができればそれほど、リペアにそれほどお金がかかるわけではありません。一か所5000~10000円くらいで修理してもらえます。
ただ、この状態をほおっておくと次第に亀裂が深くなってしまったりすることによって修理がこんなんあるいは完璧に修理することが不可能になってしまう場合もあるので、見つけたら早急にリペアにもっていくことをお勧めします。
膨らみ。
こちらは主にボディが受けた湿度の影響、あるいは弦の張力の影響によって引き起こされます。
ブリッジ下部の部分がポッコリ膨らんでしまいます。このことによって弦高が上がって弾きにくくなってしまうといったことがあるのです。
修理もそこそこ面倒です。
ただ、どう頑張っても多少はなってしまうもの(楽器によっては新品時に多少膨らませているものもあります。)
弦楽器の宿命でもあります。大事にしたい楽器の場合は長い目であたたく見守ってあげましょう。
売る場合はそこまでひどいものではない限り、急激に査定価格が下がる、全然落札されなくなるということはないかと思います。
ブレーシングのはがれ
ギターのボディー内部にはギターの補強、あるいは音色、音量の調整のためにブレーシングと呼ばれる棒に似た形の板が、格子状に組み込まれています。
乾燥であったり、経年によってこれがはがれることがあります。目視はなかなか難しいのですが、特に弦高やネックの状態に変化がないのに音が悪い方へ変わったらこのブレーシングのはがれがある可能性があります。
こちらもそこまでリペア料金は高くはありませんので、早めにリペアショップにもっていきましょう。
塗装の傷
ギターを雑に扱ったから付いたとかそういったことではなく、使用している塗料によっては大事にしていても大きな傷がつくことがあります。
アコースティックギターやクラシックギターでは古いものや高価なものはラッカーと呼ばれる塗料(クラシックギターのかなり高価なもの50~100万円台のものはセラックと呼ばれている塗装を使っています)を使っていてこれが非常にもろいです。
ちょっとしたことですぐに傷が付いたり、演奏時の汗やギタースタンドによく使われているゴムと化学反応を起こして溶けたり、はがれたりします。
著名な演奏家の中には、演奏の際塗装が剥げないようギターにタオルを巻いて、演奏している人もいるくらいです。
また乾燥によって、これはビンテージギターのある種勲章といえるものではあるのですが、塗装がバキバキになって模様が入る
ウェザーチェックと呼ばれる状態になることもあります。
塗装の禿げ方によっては買取価格に大きな影響があります。
また、アコースティックギターやクラシックギターに関しては塗装がはがれて、木部が直接外気に触れるような状態になると、湿度の影響を受けやすくなり、上述したボディの不具合が起こりやすくなる場合があります。
それぞれの対処の仕方
ボディの割れ、ふくらみ、ブレーシングのはがれ
ボディの割れ
繰り返し書いているように湿度管理が大事です。
これによって、かなり変わってきます。
それとこれはある種弦楽器の宿命のようなところもありますので、なったらすぐにリペアショップにもっていく、これが大事です。
(クラシックギターに関してはかなり値段が落ちる場合もあります。資産目的での購入、売買の場合あるいは売ることも視野に入れて購入される場合は修理歴も確認されることをお勧めします)
ふくらみ
こちらも元も子もありませんが湿度管理と弦の張力の管理が大事です。
日ごろからこまめにひいてあげて状態を確認しましょう。
ただ、こちらも弦楽器の宿命ともいえるものですので、そこまで神経質になる必要はないかと思います。
ただ、過度なふくらみは査定にもプレイにも響きますので、注意です。
ブレーシングのはがれ
こちらも上二つと同じように湿度管理が大切です。そして日ごろから弾いてあげることですね。
また古い楽器や出来の悪い楽器だと多少強めに振動が加わると、少し浮くなんてこともありますので、そういった衝撃を与えないように大事に管理してあげることも重要です。
塗装の傷
こちらに関しては乾燥によっておこるものに関しては退所が難しい部分があるのですが、化学反応によるものに関しては
弾くときに汗が付かないようにボディとの間にタオルを巻く、
スタンドに置くときには接触部分にタオルを巻く
というような対処法をとることによって、異常が起こることを未然に防ぐことができます。
エレキギター編
それではエレキギター編に移っていきます。
ネックに関してはアコースティックギターのところで触れた部分と大まかには似通っておりますので、ボディの説明に入りたいと思います。
ボディで起こる問題
ボディで起こる問題はアコースティックギターでも触れた塗装の問題もあります。
これに関してはここでは再度触れません。
もう一つあるのがエレキギターの宿命電装系の問題です。
巷でがりと呼ばれているがり、ばり、といったノイズの発生や経年によるケーブルの劣化による接触不良などがあります。
気を付けたほうがいいこと
経年でなるものに関しては宿命ともいえ、また、回路の知識など専門的な知識が必要なためここでは詳しく触れません。
リペアショップにもっていきましょう。
ちなみにこちらの本ではそういったことに関して詳しく解説がなされているのでお勧めです。
ここではジャック部分やスイッチ類の接触不良など日ごろのメンテンナンスで防ぐことができる部分に関して日ごろの管理で気を付けておいた方がいいことを書いておきます。
一番大事 毎日つかう
この記事でしつこいくらい繰り返していますが、一番大事なことは毎日使うことです。
使わないことによって、ほこりがたまり、接触が悪くなったり、悪いことばかりおきます。
また使う際は住宅事情もあるかとは思いますが、数分でもよいのでアンプを使った方が不調がわかるのでよいでしょう。
終わったら拭く
これも大事です。練習が終わったら拭きましょう。
手垢や汗が残っているとそこから錆が出ます。
エレキギターの場合はそれがかっこ良かったりもするのですが、自宅だけで弾くなんて人が特にビンテージでもないのに錆錆のギターは個人的にはちょっと悲しいかな、という気もします。
こういったギター用のクロスとポリッシュがありますので使うのもよいかと思います。ポリッシュに関しては前述したラッカー塗装のギターには対応していない(塗装がとけてしまう)ものもありますので注意が必要です。
こちらのポリッシュはラッカー塗装にも使えるタイプのものです。(ただ、実際に使用してみないことにはわかりませんので、目立たないところに軽く吹きかけて確認してから利用されることをお勧めいたします)こういったことが重要になってきます。
まとめ
今回はギターを高く売るために普段からのコンディション管理の方法について記事を書いてきました。
参考になれば幸いです。